過去最高に泣いたゲーム「ポケモン不思議のダンジョン」を思い出すとまた泣く
とある世界のとある大陸に、いくじなしのアチャモが住んでいた。
女探検家に憧れるも、プクリン探検隊に弟子入りする勇気もなく、落ち込む日々。
ある夕方、彼女は海岸に倒れていたポッチャマを助ける。
記憶がないのに「自分はニンゲンだ」と言い張る、おかしなやつ。
誰かと一緒なら、勇気が出るかもしれない。
アチャモは行くあてのない「ニンゲン」を、探検隊に誘うのだった…
これまでで最高に泣いたゲームは何かと聞かれると、「ポケモン不思議のダンジョン 時の探検隊」しか思いつかない。
RPGではないのだ。そのくらいエンディングは号泣した。
なぜ完全版の「空の探検隊」を買わなかったのかと後悔したくらいだ。
ストーリーははっきり言ってベタだ。この手の展開は、ゲームでも映画でも5回くらい見た。
どうも前作も設定は違えど、ほぼ同じ結末であったらしい。
が、ベタな展開を承知で、あの手この手で「泣かせにかかってくる」のである。
このゲームの主人公は「元ニンゲンのポケモン」なのだが、パートナーである「いくじなしのポケモン」の成長物語に気合が入っている。視点もパートナー側にあるため、プレイヤーはいつしか、パートナーに感情移入する。
BGM、セリフ回し、演出も子供向けゲームとは思えない完成度でもって、「主人公との思い出」をチクチク仕込んでくる。
なにより、パートナーがめちゃくちゃ健気なのだ。オス同士にして、ショタBL展開に萌えるプレイヤーも多いとかなんとか。
探検隊の先輩たちをはじめ、脇を固めるポケモンたちのキャラ立ちもたいへんに良い。
ストーリーばかり書いてもアレなのでシステムの話もする。
ジャンルが異なるゲームシリーズのコラボは、だいたい失敗作となる。
「チョコボの不思議のダンジョン」などは、ターン制が前提のローグライクにアクティブタイムバトルを組み込むという噴飯ものの内容だった。
なので、この作品も「ポケモン大行進が見られればいいや」くらいの気持ちで適当に買ったのだが、ローグライクのルールを守りつつ、ポケモンの種族・属性・進化を取り入れたシステムに裏切られることになった。
レベルが下がらないので「風来のシレン」と比べるとかなりヌルいが、属性概念が優れているので、パーティー編成やアイテムで縛ると一気にマゾゲーになる。
やり込みができなくなった今の自分のゲームとの付き合い方にはちょうどいい。クリア後は、レベル1からスタートする本来のローグライクに近いダンジョンも出現する。
これだけたくさんのゲームがあれば、予想外、かつ泣かせるストーリーを作ることは難しい。
それを可能にするのは美麗なグラフィックではなく、丁寧に作られた小さな演出の積み重ねである。
泣けるゲームと言われるだけあって、エンディングはいつでも観ることができる。
自分がプレイしたコンビではないが、ときどき観て、アチャモの心の痛みを思い出し、また泣く。